平通宗との無邪気な言の葉を(3)建礼門院右京大夫集から

3.文は見ずと

釈文:「『よし』とてありしのち、『さる文見ず』とあらがひ、また『まゐりたりしかど、人もなき御簾のうちは、しるかりしかば、立ちにき』といへば」

選字は「夜し度てあ梨志農地佐るふみ見 春登あ羅可ひ万多ま井里多利し可 と人裳奈支御簾のう遅八し流可利 しか者たち爾記とい邊八」

大意は「(取次が返しの文を受けとらずに帰ったことに対して作者が)『よろしい』と言った後で、通宗が『文は見ていませんよ』と言い返し、また『参上しましたが、どなたも居られないので、帰りました。」と言ったので」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社