平親長と月の贈答歌を(2)建礼門院右京大夫集を書いて

2.うちとけた様子も見せずに

釈文:「うちあけたるけしきもなくて、きとひきそばめ、はかなき物のはしに書きて」

選字は「う地あ希たる介四 き裳那久て支登比幾曽は免者可 難支毛のヽ者しに可きて」

鑑賞:「ひきそばめ」は引き側む、脇の方へ引いて隠すこと。『源氏物語』藤袴「ひきそばみつつもて参る文」

現代語にすると「打ち解けた様子も見せずに、さっと脇へ隠して、ちょっとした紙の切れ端に書いて」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社