辯才老師へ贈った詩を臨書して(15)蘇軾の書

15.広大無辺の世界も

釈文:「大千在掌握
    寧有離別憂」

書き下し文は「大千 掌握に在り
       寧ぞ離別の憂有らん」

鑑賞:「大千一句」柳宗元の『法華寺の石門精舎 三十韻』の詩に「小却 瞬を逾えず、大千 掌に在るが若し」とあることによる。「大千」は仏教用語で広大無辺の世界を言う。

現代語にすると、「広大無辺の世界も握った手のひらの中に入るとすれば、どうして別れを悲しむことがあろう。」

書風:「離」では草書の意が含まれ、右隣の「記」とともに柔らかさが感じられる字配りとなっている。

参考文献:蘇東坡詩選 山本和義選訳 岩波文庫
     蘇軾集 二玄社