父君を亡くされた平親長と贈答歌を(1)建礼門院右京大夫集より

1.父君親宗殿を亡くされて

釈文:「親宗の中納言うせてのち、背も近く見し人にてあはれなれば、親長のもとへ、九月の尽くる頃申しやる。」

選字は「親宗の中納言うせ弖農地昔も近九 見し人爾て阿者れ奈連八親長乃 も登へ九月能つ久類ころ申しやる」

鑑賞:「親宗」は平親宗。時信の男、時忠の弟。時子・滋子はその姉妹。

現代語にすると「親宗の中納言が亡くなって後、昔も身近に見知っていた人なので感慨深くて親長のもとへ、九月の終わりころ歌を送った。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社