辯才老師へ贈った詩を臨書して(13)蘇軾の書
13.私を見送って
釈文:「送我還過渓 々水當逆流」
書き下し文は「我を送りて還た渓を過ぐ
渓水 當に逆流すべし」
現代語にすると「(老師は)私を見送ってまた渓を渡られた。渓の水はまさに逆流するに違いない。」
書風:さりげなく変化を取り混ぜているのは例えば「還」と「過」のように同じ辶を持つ字を見るとわかる。「還」は長くゆったりと引き楷書風であるのに対し、「過」は控えめで行書の意がある。
また、終筆の「水」や「流」は余韻を持たせてまとめている点がおおらかさを感じさせる。
参考文献:蘇軾集 二玄社
蘇東坡詩選 山本和義選訳 岩波文庫