辯才老師へ贈った詩を臨書して(11)蘇軾の書

11.この世に生きるのは

釈文:「此生蹔寄寓
    常恐名實浮」

書き下し文は「此の生 蹔く寄寓す
       常に恐る 名実の浮なるを」

鑑賞:「寄寓」二字は同義。仮に身を寄せること。「名實浮」名称に実質が伴わないこと。

書風:「蹔」早く進むこと。この字の構成は「車偏」を大きめにして「足」は小ぶりにまとめている。しばらくの場合は暫と書くことが一般的である。

「常」は冠は細めにして軽く、終画は長く伸ばして溌剌としている。

現代語にすると「この世に生きるのはしばし仮のやどりをするようなもの、いつも内容を伴わない名ばかりとなることがこわい。」

参考文献:蘇東坡詩選 山本和義選訳 岩波文庫