五節の行事に往時をしのぶ(4)建礼門院右京大夫集より
4.尾をふっていた犬が
釈文:「御使などにまゐりたるをりをり、呼びて袖うち着せなどせしかば、見知りて馴れむつれ、尾をはたらかしなどせしに、糸ようおぼえたるにも、すずろにあはれなり。」
選字は「御使奈とにまゐり多流を里 越利よ飛弖袖う遅記せ奈登世し可 盤見し梨て馴連むつれ尾を者多 羅可志なとせし爾以とよう於本え たる耳毛須ヽろ二阿者れ奈利」
大意は「私がお使いのどに参ったおり、その犬を抱いたりして可愛がったので、見覚えてなついて、尾をふったりした犬に、大層似ていると思うにも、なんとなく心がひかれ感慨が深い。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社