五節の行事に往時をしのぶ(5)建礼門院右京大夫集より

5.人の様子は

釈文:「犬はなほ すがたも見しに かよひけり 人のけしきぞ ありしにも似ぬ」

選字は「犬者那本春可多も美し二かよ飛け利 ひと能希志き楚あ里事爾毛似ぬ」

鑑賞:ここでの犬の話は、『枕草子』六段に、主上方に飼われていた猫と、中宮方の犬の話が連想される。

歌意は「犬はそうは言っても、姿も昔見た犬によく似ている。それにひきかえ人の様子は、昔とは似つかない変わりようであることよ。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社