無理に忘れている昔のことを(1)建礼門院右京大夫集から
1.もし資盛が健在なら
釈文:「昔軽かなる上人などにて見し人々、重々しき上達部にてあるも、『とぞあらましかくぞあらまし』などと思い続けられて」
選字は「昔可路可奈流上人なとにて見し人々 おもヽヽ志支上達部爾て阿る裳登 處あらまし歌久曽あ羅万志奈と 於も日つヽ希られ亭」
鑑賞:「軽かなる上人」は殿上人。昇殿を許された人の中で身分が高くない人々。
大意は「昔それほど身分が高くなかった方々さえ、上達部に取り立てられているのを見ると、『資盛が生きていたら、あのようになっていただろう』などと思い続けている。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社