七夕の笹に五色の糸をかけて(6)建礼門院右京大夫集より

6.今日がくれば

釈文:「けふくれば 草葉にかくる 糸よりも ながき契りは 絶えむものかは」

選字は「介布供連八草葉耳可九流糸よ利 裳なき契り者多江むもの可盤」

鑑賞:「けふくれば」の「くる」は「操る」の意と「来る」をかけている。そして「操る」「ながき」「絶えむ」は全て「糸」の縁語である。

「絶えむものかは」の「かは」感動を込めた反語。

歌意は「七夕の今日がくれば、笹に五色の糸をかけて二星へ手向けるが、その糸よりも長い二星の宿縁は決して絶えるものではないのだ。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社