行草書巻・その一(3)董其昌を臨書する

3.ことごと無礙なり

釈文:「攝入鉢盂。事々無礙。」

書き下し文は「攝(と)りて鉢盂に入れれば、事々 無礙なり。」

鑑賞:「攝」の省略体が常用漢字の「摂」である。手偏はがっし
   りとおおらか、旁はその傍に沿って収まりがよい。
   「鉢盂」は僧侶の食器。

   「無礙」は仏語。さしさわりのないこと。とらわれること
   なく自由であること。
   『法華義疏』に「如来、無礙力無畏禅定解脱三昧諸法皆深
   成就故、云広大甚深無量」とある。

参考文献:董其昌集 二玄社
     日本国語大辞典