行草書巻・董其昌を臨書して(1)羅漢賛より

1.行草書巻とは

『行草書巻』は紙本、31.0×479.5cm。東京国立博物館蔵である。書写年代は、萬暦三十一年(1603)四十九歳の頃の作にあたる。
前半は穏やかに書き出して運筆し、後半になると興に乗って懐素の自叙帖を思わせる変化に富んだ書き振りとなる。意のおもむくままま次第に気分が高揚して、狂草に変化してゆくさまは、卒意のうちに平淡自然をめざした姿がうかがえる。

董其昌は禅の南北宗の違いによって画派の違いを説明したことは、芸術創造における基本原則の解明にも寄与している。書と画は同源のものと考えられ、制作者自身の進む道を示してきた。

参考文献:董其昌集 藤原有仁解説 二玄社