詩書切を臨書し特徴をよむ(4)和漢朗詠集から

4.うぐいすは谷を出ようと

詩書切 藤原定信筆 祥香臨 東京国立博物館蔵

「新路如今穿宿雪」

書き下し文:「新路は如今(いま)宿の雪を穿(うが)つ」

「新」は偏と旁の強弱をはっきりとわけて印象的である。偏は太く複雑に密を作り、これとは対照的に旁は細くあっさりと余白を包んでいる。

「路」は上の「新」を際立たせるようにやや小さく、笛の先で運筆している。「如」のやさしい筆触は愛らしく、「今」の優雅な慈恵につながっている。」

「穿」は大きく書くこともできたが、下部を重くして重心を下げている。「宿」で字幅を出し、「雪」でまとめている。

参考文献:書の美 島谷弘幸著 毎日新聞社