同じ境遇の人と平家のゆかりを懐かしみ(2)建礼門院右京大夫集から
2.同じ思いで
釈文:「帰り給ひぬなごり、雨うち降りて物あはれなり。こ
の人も、ことに我がおなじ筋なることを思ふ人な
り。なつかしくもあり、さまざまそれも恋しく思
ひ出でたれて、申しやる。」
選字は、「帰り給ひぬるなこ里雨う地降り
て物あは連奈流こと越思布人奈里
奈徒可志久毛阿利さまヽヽ楚れも恋し
九思比出てら連傳申しや流」
大意は、「帰られた後、名残が惜しくて雨は降ってもの悲し
かったです。この人も私とおなじ物思いをする人
なのです。懐かしくもあり、あれこれと恋しく思
い出されて次のように申しました。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社