あの人のことを全て忘れたいけれど(5)建礼門院右京大夫集を書きながら

5.そうは言っても忘れてしまうのは

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「忘れむと 思ひてもまた たちかへり
    名残りなからむ ことぞかなしき」

選字は、「王寸れ無と思ひてもま多ヽ地可遍利
     名残り奈可羅无こ登曽か奈し
                 支」

 ここでは、「名残り」をそのまま「名残り」と書いています。これを例えば、「な残り」
 と書いてしまいますと、「なのこり」と読まれるかもしれませんので、注意が必要です。
 別々にしても読み方が変わらないか、等に気をつけて文字を選ぶことが大切です。

歌意は、「あの人を忘れようと思っても、また思い出します。全ての思い出を忘れてしまう
     のも悲しいことに思われて」

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社