斎藤茂吉の和歌を書く(3)「赤光」から

3.赤光の作風は

斎藤茂吉作 祥香書

「赤光」の中でこの歌はどのような位置づけなのでしょうか。
岩波文庫の解説によれば、「大正元年、二年と『赤光』の歌境は
いよいよ鮮明に強烈に多方面に展開するが、その感覚的なものも

情緒的なものも、すべて真実の生によって統一されている。大正
二年の『おひろ』『死にたまふ母』は、その抒情の完成した姿を

示し、そこに試みられた新しい連作の形式は、また短歌の世界の
一つの拡充であった。」

ここで取り上げた歌は、『おひろ』其の三の中程に位置しています。
情景を歌っていながら、そこに漂う情趣は広く歌を包んでいます。
とりわけ、「たゆたふ」と歴史的仮名遣いを用い、印象的です。

 参考文献:赤光 斎藤茂吉作 岩波文庫