いったいことばというものは何だろうか(1)荘子を書いて考えよう

1.風や波

荘子 祥香書

楚の国の葉公子は、国使として斉の国へ行くことになったとき、孔子
に相手の心を変えるにはどうすればよいかを尋ねました。そもそも、
ことばとは何でしょうか。

「夫言者風波也、行者實喪也
 風波易以動、實喪易以危」

書き下し文は、「夫れ言とは風波なり。行とは実喪なり。
        風波は以って動き易く、実喪は以って危うくなり易し。」

現代語にすると、「いったい言葉というものは風や波のようなものです。
行為というものも、得るものがあったり失ったりするものです。風や波は
動いて変わりやすいですし、得失があることは危ういものです。」

ことばは絶えず変化し、移ろいやすくとどまることがありません。それでも
頼りにしたくなるものです。それは不確かであやういことです。
 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波文庫