翼がないのに自然にまかせて飛ぶとは(2)荘子より

2.意見が用いられるようなら

荘子 祥香書

若能入遊其
 樊而无感其名入則鳴不則止无
 門无毒一宅而寓於不得己則幾矣
 絶迹易无行地難


書き下し文は、「若能く入りて其の樊に遊び、而も其の名に感(うご)くこと
なく、入れらるれば則ち鳴り、入れられざれば則ち止み、門もなく毒(とりで)
もなく、宅を一にして已むを得ざるに寓すれば、則ち幾(ちか)し。」

現代語にすると、「お前が衛の国へ入ってそのゆとりがない束縛の世界で自由に
ふるまい、さらにそこでの評判を気にせず、意見が用いられるようなら進言する
し、そうでなければやめ、自らに出入りの門を作らず、守りの砦も作らない。心

のすみかを一定させて人の力ではどうしようもない絶対の運命に身を任せていく
ことができるなら、ほぼ完全だ。あるところへ行かないでいるのは容易いが、
大地を踏まないでいるのは難しい。」

 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波文庫