平資盛が遺した後世への思い(2)建礼門院右京大夫集より
2.あなたは不憫に思ってくれるだろうか
さらに資盛の言葉は続きます。
「『さらば、さすがに露ばかりのあはれはかけてむや。たとひ何とも思はずとも、
かやうに聞えなれても、とし月といふばかりになりぬるなさけに、道の光もか
ならず思ひやれ。』
選字は、「佐ら者さ須可耳露者可
里能あ盤連は可希てむや多と日
何と毛思は春と裳閑やう二記こえ奈
れ天も登し月とい布盤に南
利ぬ類奈さ希に道の光も可難ら
寸思ひや連」
鑑賞:「道」は仏道のこと。仏教として代表的な実践道で、八正道のこと。また仏の教え。仏道、すなわち、さとり。この場合は、資盛が死後、迷わないように仏の道を照らしてほしいと建礼門院右京大夫に願っているところです。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社