あなたへ手紙を差し上げなくても(1)建礼門院右京大夫集を書いて

1.心の準備をして

建礼門院右京大夫集 祥香書

資盛の話は続きます。
「また、もし命たとひ今しばしなどありとも、すべて今は、心を昔の身とは
 思はじと思ひしたためてなむある。」

選字は、「ま多もし命多と悲いま志者し奈
     登あ利と裳須へ今は心を昔の

     身とはおも盤しと思ひ志多ヽ免
     て奈無あ流」

大意は、「もし命がしばらくあったとしても、心中は昔とは全て違い固く心の
     準備をしているのです。」

まだ若い二十三歳の資盛が、このように決心して戦に臨もうとしていることが
切ない思いです。
 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社