世の中の騒ぎは夢とも幻とも(1)建礼門院右京大夫集を書きながら
1.寿永・元暦の頃
高倉院がお亡くなりになってからの世の中は、騒乱に巻き込まれていきます。
「寿永元暦などの頃の世のさわぎは、夢ともまぼろしとも、あはれともなにと
も、すべてすべていふべきはにもなかりしかば」
選字は、「寿永元暦奈と能ころ世の佐王き八
夢とも満本呂し登毛阿者連と
裳何とも春遍て〃い布へ支は爾
耳毛な可里しか者」
鑑賞:「寿永元暦などの頃の世のさわぎ」とは、1182年から85年の年号に、安
徳・後鳥羽天皇の時代に源頼朝の挙兵に応じて木曽義仲が攻め上り、平家
一族が都を追われ西海に滅びるまでの動乱のことです。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社