高倉院崩御の知らせを聞いて(2)建礼門院右京大夫集を書いて

2.高倉院の世は

建礼門院右京大夫集 祥香書

詞書:『高倉院かくれさせおはしましぬ』と聞きし頃、見なれまゐらせし世のことかずかずにおぼえて、及ばぬ御事ながらも、」

選字は、「高倉院か久れさせ於者しま志ぬ
     と聞ヽしころ見奈連ま井ら勢四

     世乃こお登可数可春にお本江て及はぬ
     御事奈から裳」

現代語にすると、『高倉院がお亡くなりになられました』とお聞きした頃、身近に親しんでいた御治世のことがいくつも思い出されて、恐れ多い雲の上の御事とはいえ」

高倉院の治めていた時代は、安定した世の中であったと思い返し、これから起こる様々な出来事とは対照的になっていきます。

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社