母の四十九日忌に(5)建礼門院右京大夫集より
5.一人になってしまった私は
母を失い一人になった作者の心細さはいかばかりでしょうか。
詞書「思ひなしもいとど心細く、かなしきことのみまさりて、
あはれてふ 人もなき世に 残りゐて
いかになるべき 我が身なるらむ」
歌の選字は、「あ者れて布人裳な支世耳能こ里
井てい可に那る遍き王か身奈流ら无」
歌意は、あわれと思って慈しんでくれた母も亡くなってしまい、この世に一人残された私はこの先
どのように生きていけばよいのだろうか。
母の慈愛を出家後も感じていたであろう作者は、よるべきしるべを失ったかのような落胆ぶりです。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社