平重衡は茶目っ気たっぷりに(3)建礼門院右京大夫集を書いて

3.ただの冗談なのに

建礼門院右京大夫集 祥香書

重衡がおどかしていう言葉が恐ろしくてたまらず作者は、
「あだごとに ただいふ人の 物がたり
 それだにこころ まどひぬるかな」

選字は、「あ多こ登爾たヽいふ人の物可多里
     楚れ多二故ころま度日ぬ流可奈」

鑑賞:「あだごと」は上べだけの言葉。冗談。
   宇津保物語 藤原の君 「人の御あだことなど」訳-人の上べだけのお言葉
   などに。のちに「あだごと」ともいわれます。

歌意は、ほんの冗談なのに、聞いただけで恐ろしさに心が混乱してしまいます。
 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社