江南の春・杜牧(3)漢詩を書く

3.南朝以来の寺院

杜牧作 祥香書

南朝四百八十寺

書き下し文は、「南朝(なんちょう)四百八十寺(しじゅうはっしんじ)」

「八十寺」は「はっしんじ」と読みます。漢詩は発音を「平」を「仄」に
分けます。「平」は音調に変化のない平らな発音で「仄」は変化があるもの
です。発音の美しさを重視する漢詩には、この並べ方にきまりがあります。

その決まりに従うと、この漢詩は「十」の部分に「平」の発音になるはずで
すが、通常「十」の発音は「仄」です。そこで、「平」の発音だったと考え
て、シンと読むわけです。*①

日本語で読んでも引き締まった音は凛とした美しさを感じますね。
「南朝」は中国の南北朝時代、江南に建国した漢民族の王朝。420年建国の
宋に始まり、斉・梁・陳の四王朝が589年隋の統一まで継続しました。これ
に呉・晋を加えて六朝と呼び、仏教が栄え、寺院の多さが讃えられました。

*出典:①漢字文化資料館 大修館書店