湯治に来た友へ歌を贈る(4)建礼門院右京大夫集から

4.うらやましいこと

建礼門院右京大夫集 祥香書

うらやまし ほた木きりくべ いかばかり
 み湯わかすらむ 秋のやまざと


選字は、「う羅やまし本多木ヽ利倶へい可は可利
     美遊わ可須らむ阿きのや万佐と」

鑑賞:「ほた木」とは、焚き火などに使う木の切れ端。
西行『山家集』「山深み榾伐るなりと聞こえつつところにぎわふ斧の音かな」

   現代では、湯治へ行くといえば温泉地を想像しますが、平安時代では蒸し風呂
   が一般的でした。そこで、お湯を沸かして思いっきりお湯に浸かるのは贅沢だっ
   たのでしょう。

歌意:あなたがうらやましいわ。木の切れ端をくべて思いっきり、お湯を沸かせる
   なんて。
   作者がうらやましいと詠むむのも無理からぬことかもしれませんね。

   参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社
        広辞苑