枯野にぬれた荻は(5)建礼門院右京大夫集から

5.枯野の霜よ

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文「霜さゆる 枯野の荻の つゆのいろ
   秋のなごりを ともにしのぶや


選字は、「志も佐ゆる枯野の荻農つ遊乃意路
     秋の難こ利と毛にし乃ふや」

歌意は、冷えて霜が降りた枯野の荻に置かれた露の色よ、私と同じように秋の名残り
    をひっそりと思い慕っているのでしょうか。

鑑賞:「霜さゆる」の参考歌に「霜さゆる汀の千鳥うちわびて鳴く音かなしき朝ぼらけ
    かな」(源氏物語第七段 巻四十七 総角)があります。こちらは霜が冷たい
    の意味で用いられ寒々として光景が広がっています。
 
    それに対して、この歌は詞書で情景の描写があったように、枯野は時雨で濡れ
    て色を増し若葉の緑青色が点々とあり色彩豊かな場面に、作者は秋を思い出し
    て懐かしんでいるのです。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社