春の花が咲く中で(3)李白・月下獨酌四首から其ニを書く

3.酒を愛することは

天地既愛酒
 愛酒不愧天


書き下し文は「天地既に酒を愛すれば
       酒を愛すること天に愧じず」

「既」: 〜の以上は。
「不愧天」:天に恥じない。

意味は、天も地も酒が好きである以上は、
    酒を愛することは天地に何ら恥じることはない。

筆者の宋廣は、草書を得意としていただけあり、連綿と文字をつなぎ
よどみがない書き振りです。「地」から「既」にかけて大きく展開し
て「愛」の文字を包んでいるようです。「酒」で再び広げてから、同

じ文字を表す「々」を重ね、位置を変えています。「不」は小さく、
「愧」を太くしっかりと書いています。

 参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社