山中にて幽人と対酌す・李白(3)秋艸同人を臨書して

3.私は酔って

祥香臨

我酔欲眠卿且去

書き下し文は、「我酔うて眠らんと欲す 卿(きみ)且(しばら)く去れ」

「欲眠」:眠たくなったの意味
「卿」:君。同じ位の人、または下位の人を呼ぶ称。
「且」:ひとまず、しばらく。

鑑賞:三句目と四句目は陶淵明の逸話に依っています。かつて陶は酒に酔うと「我酔うて眠らんと欲す、卿去るべし」と言いました。これは、二十四史の一つである『宋書』、南朝の宋の正史にあるということです。

さぞかし気安い間柄であったと思われる話ですが、そこをしっかりと踏まえて李白が詠うあたりは、陶淵明に対する憧憬もあるのでしょう。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社