松のように志を高く持って生きよう(1)米芾「擬古」より
1.青松の力強さ
青い松の力強さを謳い、人の生き方に迫る米芾の「擬古」にみていきます。
「青松勁挺姿
凌霄恥屈盤」
書き下し文は、「青松 勁挺(けいてい)の姿
凌霄 屈盤(くつばん)を恥ず」
この漢詩の作者で、書家である米芾(1051-1107)は北宋の人です。宋の四大家として、蔡襄・蘇東坡・黄山谷と共に並び称されます。米芾は書の鑑識をよくし、自らも収蔵しました。特に晋唐の最もすぐれた名蹟の鑑賞に努めました。
上の「蜀素帖」は蜀で織られた絹に書かれた自作の詩巻です。当時、湖州の知事、林希の招聘を受けてその任地に遊んだときに揮毫された三十八歳の書です。
意味は、葉が青々とした松の力強く伸びる姿、大空に高くそびえるさまは屈曲し、複雑に曲がりくねるのを恥じるかのようである。
参考文献:米芾集 大野修作 二玄社