志を一つにするとは(7)荘子から読み解き書く

7.この空虚の状態は

荘子 祥香書

耳で聴かずに、心でも聴かない。それでは
 「氣也者虚
  而待者也、唯道集
  虚、虚者心齋也


書き下し文は、「気なる者は虚にして物を待つ者なり。唯だ道は虚に集まる。
虚とは心斎なりと。」

意味は、気は空虚でどんなものでも受け入れるのだ。そして真実の道はただこの空虚の状態にのみ成し遂げられる。この空虚の状態になることこそ心斎である。

「心斎」とは、心を虚しくして統一することで、邪念や欲望を離れ虚心になることで、荘子の「坐忘」や「吾は我をわすれたり」に通ずるものです。私が中心の考え方から離れ、作りごとをせずに手放した状態といいましょうか。

そのままに、宇宙自然と一体となった境地であり、人が目指す理想的な態度と言えるでしょう。
 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店