尾崎放哉を書く(2)書いて味わう

2.ひとりと一人

尾崎放哉句 祥香書

こちらは、同じ句を「咳」を「せき」とかなで書き、「ひとり」を
「一人」と漢字で書きました。印象としては、「咳」と書くより
それほどひどくないように感じます。

また、「ひとり」は寂しそうな風景が浮かびますが、「一人」と
書くと意志的で自らが選んでそこにいる様子が伝わります。

ただ、「墨場辞典」では、作者が「咳」と「ひとり」を用いている
あります。基本的に漢字かな交じり文では原文に忠実に書くことが
必要です。原本を調べることや、「墨場辞典」などを参照すると良い
と思います。

漢字とかなを変えることで、句の印象が変わることがありますので、
色々を試みることは、句と向き合うことにもつながることでしょう。

 参考文献:かな墨場辞典 飯島春敬編 東京堂出版