「蜀相」諸葛亮(2)杜甫の詩を書く

2.廟の景色は

蜀相 杜甫 祥香書

三・四句は、董其昌が揮毫していましたので、倣書しています。
 「映階(土篇)碧草自春色
  隔葉黄鸝空好音

読み下し文は、「階に映ずる碧草は自ずから春色
        葉を隔つる黄鸝は空しく好音」

意味は、祠の階段に青い草が映って、自ずから春のよそおいを表し、
葉かげで鳴く高麗鶯は、誰もいない中で美しくさえずっています。

この対句は「自」と「空」を効果的に配し見事に作者の思いが表現されています。
「自春色」:人の世に関わらず春のよそおいを凝らす
「空好音」:聞くものがいないのに美しく囀る

こうした対句を取り出して揮毫することが、和漢朗詠集にもみられます。印象的な箇所を朗詠したい気分になるところです。

 参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明 二玄社