世間から取り残された自分は(4)漢詩を書く

4.友に知らせてくれ

韋応物 祥香書

為報洛橋遊宦侶
 扁舟不繋與心同


読み下し文は、「為に報ぜよ 洛橋 遊宦の侶
        扁舟 繋がざること 心と同じ」

意味は、私のために知らせてくれ、洛陽の都の友へ。小舟を繋がずに流れにまかすように、私もまた同じ気持ちだと。

作者の韋応物は、名門の出身であるが、安禄山の乱で失職し、後に勉学に励み、善政を施した人物です。詩は王維・孟浩然の流れで、唐の自然派詩人である柳宗元と共に『王孟韋柳』と呼ばれます。

最後の句が「荘子」に依拠していると思われることから、次回に記します。
 参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明 二玄社