世間から取り残された自分は(3)漢詩を書く

3.風景に託す思い

韋応物 祥香書

作者は、風景に自分の姿を託して詠みます。
 「孤村幾歳臨伊岸
  一鴈初晴下朔風
」 

読み下し文は、「孤村 幾歳か 伊岸に臨み
        一鴈 初めて晴れて 朔風に下る」

意味は、ただ一つ残された村には幾年の年月が流れたろうか、伊水の岸に。一羽の雁が晴れ上がった空に、北風とともに南へ飛んでいく。

世間から取り残された自分は、北風とともに南の土地へ赴任するのだ、と風景に思いを託しています。
 参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明 二玄社