紅葉のつくり葉・夜の月(4)建礼門院右京大夫集を書く
4.昨夜の見事な月に
釈文:「登花殿のかたなどにて、人々具して見て、その暁出でてつとめて、『よべの月に心はさながらとまりて』と申したりしかば、」
選字は、「登花殿のか多なと爾弖人々具して
見て處の暁出てヽつと免てよへ
の徒支耳こ路者さな可羅
登ま里てと申した可志可八」
意味は、平安京内裏後宮で皇后・女御などのお部屋として使われた登花殿のあたりで、人々がご一緒に見て、暁に退出されました。早朝になり、「昨夜の月が見事でそのまま帰ってしまいました」と言ってきたので。
歌集を読む場合は、詞書が少なめであるのに対して、細かく背景が描写されている「建礼門院右京大夫集」では経緯が分かります。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社