風の便りに(2)建礼門院右京大夫集より

2.おろそかには致しません

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「なほざりに 思ひしもせぬ 言の葉を
    風のたよりに いかが散らさむ


選字は、「なほさ利耳於もひし毛
     勢ぬこと能葉を風の多よ里
     爾い可ゝ千ら佐無」

「なほざり」は、あまり注意を払わないさま。深く気に留めないさま。
「葉」、「風」、「散らす」は縁語。

大意は、いつもおろそかには思っておりませんもの。ついでにことづけて他の人に見られたりなど、どうしていたしましょうか。

お見事は返しですね。相手を大切に思っている気持ちが伝わってきます。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社