月明かりにうたげの追憶(1)建礼門院右京大夫集を書く

1.中宮のご兄弟

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「春頃、宮の西八条に出でさせ給へりしほど、大方にまゐる人はさることにて、御はらから、御甥たちなど、みな番にをりて、二、三人はたえずさぶらはれしに」

選字は、「春ころ宮の西八条爾いて佐せ多ま
     遍り志ほと大方にまゐる人盤
     佐るこ登爾て御者羅可ら御甥
     堂遅なとみな番爾越利弖
     二 三人盤多え須さふら者れし二」

大意は、春の頃、中宮が平清盛の別邸、西八条にお里帰りしてらした時、もちろん参上する方々は、いうまでもなく、中宮のご兄弟、甥御さま方など、当番に詰めて、二、三人はいつもお側に控えておられました。

ころは平家の全盛時代と思われます。『清盛の館を西八条と号す』と「都名所図会」にありました。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社