大人先生の評判を聞いて(3)酒徳頌を臨書する
3.賛否の議論の行方は
この部分は、董其昌においては抜けていた箇所です。付け加えて書いています。
「乃奮袂攘襟、怒目切齒」
読み下し文は、「乃ち袂を奮い襟を攘い、目を怒らし歯を切し」
「奮袂攘襟」:袂を振るい襟を払う。
決心して勢いよく立ち上がるさま。
「怒目切齒」:目を怒らせ歯ぎしりする。*①
現代語にすると、「そうすると、袂をふるい襟を払い、目を怒らせ歯ぎしりし」
議論をしているつもりが、体の方に表れて、激しさを増している様子がわかります。身分の高い家柄の若者たちや、高貴有徳の人たちはいったいどこへ行ってしまったのでしょうか。
出典:*① 漢詩と名蹟 鷲野正明 二玄社