董其昌の書(3)酒徳頌を味わう
3.大人先生とは
それでは読み進めていきましょう。
「有大人先生。以天地為一朝、萬期為須臾」
読み下し文「大人先生というもの有り。天地を以て一朝と為し、萬期を須臾と為し、」
大人とは、宇宙の大道を体得した人。作者劉玲を仮託している。
天地は、天地が開けてからの間。
一朝は、一日。
萬期は、一万年。
須臾は、瞬時。
意味は、大人先生というものがいる。天地が開けてからの間を一日とし、一万年を瞬時のこととし。*①
大人先生、と自らをかこつけて詠んでいます。初めから、常識に囚われた観念を破ります。時間の概念を飛び越えて、大人先生が登場です。
*出典:①漢詩と名蹟 鷲野正明 二玄社