春の夜には(4)詠じたい詩歌

4.二月の雪

粘葉本和漢朗詠集 二玄社 祥香臨

四句目「倚松根摩腰 千年之翠満手
  折梅花挿頭 二月之雪落衣

読み下し文は「松根に倚って腰を摩れば 千年の翠手に満てり
       梅花を折って頭に挿せば 二月の雪衣に落つ」

「二月の雪」とは、春の終わりの頃に降る雪で、梅の花が落ちることを指します。

意味は、松の根元で腰をさすれば、千年の松の翠が私の手に満ち溢れる気がします。梅の花を折って髪に挿せば、二月の雪のように衣に降りかかります。

2月に降る雪は、春の雪のように淡く、梅の花が散る様子によく似ています。梅林で開花のお祭りが始まると、たいてい一回は雪が降り、梅花とみまごうばかりです。

 参考文献:和漢朗詠集 川口久雄 講談社