春のおもしろみ(3)声に出したい和漢朗詠集

3.春の情趣

粘葉本和漢朗詠集 二玄社 祥香臨

三句目は、「笙歌夜月家々思、
      詩酒春風処々情

読み下し文は、「笙歌の夜の月 家々の思ひ
        詩酒の春の風 処々の情」

意味は、笙の音と歌が月夜に家々から聞こえ、詩を読み酒を酌み交わす、それぞれが春の情趣を楽しんでいます。

平穏な平安京の生活風景が現れています。春になり心が浮き立ち、夜の月を眺めても寒さにふるえるほどでもない季節の到来を喜ぶ様子が詠まれています。

 参考文献:和漢朗詠集 川口久雄 講談社