宋栄子はゆったりと彼らを冷笑する(2)荘子を書く

2.とらわれている狭い世界

荘子

 「其自視也亦若此而宋栄
  子猶然笑之」


読み下し文は、「其の自らを視るも亦た此の若し。而して宋栄子は猶然(ゆうぜん)としてこれを笑い」

「宋栄子」とは、荘子や孟子よりやや先輩の思想家。人の情欲は本来少なく、他人の侮りを受けても恥辱でないと説いて、侵略戦争に反対した。*①

前回の話で、(一つの知識は一つの官職を考えるだけ、その行為は一つの村里に影響するだけ、その徳は一人の君主に気に入られるだけ、その才能は一つの国にあらわれるだけという人々、すなわち世間の秀才たちでは)

自分のことを振り返るとき、やはりこの斥鷃(うずら)や學鳩(こばと)と同じようである。つまり狭い自分の世界だけにとらわれているからです。そこで、宋栄子はゆったりした様子で彼らを冷笑する。 

それまでは、小さい鳥と鳳の話であまり関係がなさそうに見えましたが、ここで我が身に引き寄せて示しています。 

 出典:*①荘子 金谷治訳注 岩波書店