宋栄子はゆったりと彼らを冷笑する(1)荘子を書く

1.その知識はひとつの官職だけ

荘子

 「故夫知効一官行比一郷
  徳合一君、而徴一國者

読み下し文は、「故に夫の知は一官を効(かんが)え、行は一郷を比(おおい)、徳は一君に合(かな)い、而(のう)は一国に徴(しるし)ある者は」

「だから、その知識は一つの官職を考えるだけ、その行為は一つの村里に影響するだけ、その徳は一人の君主に気に入られるだけ、その才能は一つの国にあらわれるだけというあの人々は、」の意味です。

いよいよ、佳境に入ってまいります。「あの人々」を世間では秀才と呼ぶのです。一見すると知識もあり、才能に恵まれて良さそうに思えます。しかし、活躍の場は限定的である。それは何故でしょうか。

 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店