小さいものと大きいもの(5)荘子を草書で書く
5.その違い
「コウ翔蓬
嵩之聞(間)此亦飛之至也、而彼且奚
適也此小大辨也」
読み下し文は、「蓬嵩(ほうこう)の間にコウ翔す、此れ亦た飛ぶの至りなり。而るに彼且に奚くに適かんとするやと。此れ小大の弁なり。」
「コウ翔」は鳥が飛びまわること。「コウ」は翼を上下に動かして飛ぶこと、「翔」は羽を張ったまま動かさずに飛ぶこと。
「蓬嵩」は草むらのこと。
『(斥鷃が言うには)結局、草むらの中を飛び回ることになる。これだって大した飛び方なのだが、鳳ときたらどこへ行こうっていうのか。』と。これが小さいものと大きいものとの違いである。
斥鷃のような小さい鳥には、空高く飛び、南をめざすなどということは想像もつかないでしょう。それは姿や形が小さいからというより、考えが及ばないからなのです。小さい体に思いがとどまっていると、他のことに考えが行かなくなってしまいます。
参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店