鳳が翼を広げるとき(5)荘子を書く

5.美しい比喩

荘子

今回「逍遙遊篇」で語られた大鵬の飛翔は、美しい比喩でした。
「現実のわずらいから解放され、とらわれのない自由な精神で世界を飛翔することが可能になる」*① こうした境地を例えて述べたものに他ならないのです。

それは、考え方の問題ではなく、自己という枠から離れることです。人間の存在が有限でありながら、そこから抜けるということはどういうことでしょうか。

相対的な価値観を持ったままでは、波間に揺れる小舟のようになってしまいます。そこで、自己を放ち、ゆだねることで異なる面が現れるのです。

 出典:*① 荘子 金谷治訳注 岩波書店