鳳が下界を見ると(3)荘子を書く
3.杯の水をでこぼこの床に
「覆杯
水於坳堂之上則
芥為之舟置杯焉
則膠」
読み下すと、「杯水を坳堂(ようどう)の上に覆せば、即ち芥これが舟とならんも、杯を焉(ここ)に置かば即ち膠(着)せん。」
「坳堂」とは、平滑でなくて、でこぼこがあることです。
内容は、「杯の水を凹凸のある床の上にひっくり返せば、小さい草なら舟となって浮かびもしよう。だが、そこに杯をおけば、床についてしまう。」
ここでは、たまった水のかさを想像させて、ちりのような小さい草を舟に見立てています。
物の大小や遠近が、目まぐるしく変化して既成概念を破っていきます。
参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店