天の蒼蒼たる(2)荘子を書く
2.生き物の息
内容は、「陽炎か塵埃か、たちのぼる宇宙の大気は、生き物たちの息が吹きあっているのだ。」リズミカルな文章がたたみかけるように、春の陽気の様を描き出しています。
気象情報へ容易にアクセスできる昨今では、空で大鳳が呼吸しているのだと言っても信じる人はいないかもしれません。ただ、今は春の気に誘われて、陽炎が野に放たれた馬のように空気が勢いよくたちのぼる様子を思い浮かべてみましょう。
節分が近くなり立春の頃は、空気が緩み樹々の芽や鳥たちの囀りにも生気が感じられます。頭で考える知識と体で感じる実感は、近いこともあり遠いこともあるでしょう。
想像力を働かせて、空の彼方へ飛び立つことは日頃の狭まった思考を解き放つことにつながるかもしれません。
参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店