維盛北の方との交流(2)建礼門院右京大夫集

2.お返しに詠んだ歌

建礼門院右京大夫集  祥香書

維盛北の方から、心のこもった歌をいただいたので、お返しの歌を詠みました。

  「ひく人の なさけもふかき 江に生ふる
   あやめぞ袖に かけてかひある」

用字は、「ひ具人の那さけ毛ふ可幾江璽
     於布るあや免そ處傳耳可遣
     弖閑飛阿留」

歌意は、「根を引いて下さった方のお気持ちは深く、入江に生えていたあやめの根は、袖にかけても十分にあります。」

維盛北の方との情愛あふれる歌のやりとりは、以前にも見られ微笑ましいものがあります。もとよりご縁のあった方同士でありました。また、建礼門院右京大夫の思い人が維盛の弟、資盛であったことも近しさの所以でしょうか。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社