亡き父の筆跡を見て(3)建礼門院右京大夫集

3.都では初鳴きを待っているのに・・

建礼門院右京大夫集  祥香書

四月の頃、親しい人とともに山里に出かけた時、ほととぎすが鳴いていたので詠んだ歌が、

  「みやこひと まつらむものを ほととぎす
   鳴きふるしつる みやまべの里」

 用字は、「みやこ人万徒羅无毛能を本とヽ
      幾寸なき布流しつる美や
      ま遍の佐と」

京都の人はさぞ初音を待っているでしょう、うぐいすの鳴く声がしょっちゅう聞かれます。ここ山里よ。

平安時代には、まだ慣れずに鳴くうぐいすの声を待ち望んでいたのです。
 参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社